育休中、コロナ感染症で保育園が休園に
全国的に新型コロナウイルス感染症の緊急事態宣言が解除されました。ようやく各方面で手探り状態での再開が始まっています。小さいお子さんを抱えて働く家庭にも少なからず影響がありました。
育児休業中の方が雇用保険の育児休業給付金を受けていて復帰時になり、子どもを保育園に預ける予定であった時、保育園が新型コロナの感染症で臨時休園になっていたり、市区町村や保育所から登園の自粛要請となったりした場合、雇用保険の育児休業給付は延長されるのでしょうか?
そもそも育児休業給付金を受け取るには
育児休業給付金は1歳に満たない子を養育するため育児休業を取得する被保険者の方で、育児休業開始前2年間に賃金支払い基礎日数11日以上ある月が12か月以上ある方が対象となります。
育児休業は原則1年間ですが、1歳の時点で保育園に入れない場合などは1歳6か月まで、1歳6か月の時点でも保育園に入れない時は2歳まで延長できることとなっています。
厚労省は今回通常の定員などの関係で保育所に入れない場合以外、新型コロナ感染症が原因で登園できない場合も育休の延長を認めることとしました。給付金を受けるには休園や自粛要請を確認できる書類かWEB上のお知らせなどの写しを添付し給付請求します。
子の年齢や復帰前であるかが受給ポイント
先に給付金の受給資格について記載しましたが、受給可能かどうかは子どもの年齢に関係します。
1歳未満であれば一旦育休を終了し職場復帰していても再び給付を受けられます。自粛要請や休園が1歳や1歳6か月時点であれば延長は認められます。1歳以上2歳未満では職場復帰しているかが問われます。慣らし保育などで通っていた時でも復帰していなければ延長はできますが、完全に職場復帰した後では延長や給付金の支給はありません。
「瑕疵担保責任」は「契約不適合責任」へ
令和2年4月1日より改正民法が施行されました。多岐にわたり、いろいろな改正が入っていますが、請負契約の「瑕疵担保責任」が「契約不適合責任」に変わることにも注目されています。この改正により売主の責任が増すことになります。
改正前の請負契約の「瑕疵担保責任」とは
改正前の民法の「瑕疵担保責任」を復習してみましょう。「瑕疵(かし)」とは「玉に瑕(キズ)」のキズ(欠陥)のこと。土地・建物などの「特定物」の欠陥などは、引き渡されても、すぐにはわからないものがあります。これを「隠れた瑕疵」といいます。
旧民法では、引き渡した物件に「隠れた瑕疵」がある場合は、売主は瑕疵担保責任を負うものとされていました。
(瑕疵担保責任の内容)無過失責任
①原則:損害賠償
②例外:契約目的を達しない場合に限り 契約解除可(建物は不可) |
たとえ瑕疵がある土地・建物の引き渡しても、債務(引渡)は履行しているので「債務不履行責任」は問えないと考え、代わりに「瑕疵担保責任」が法定されたわけです。
改正後は売買の「契約不適合責任」準用へ
今回の改正で、請負契約に売買契約の「契約不適合責任」が準用されることとなり、「瑕疵担保責任」規定は削除されました。
(請負契約の改正のポイント)
改正前 | 改正後 | |
修理・代替物の請求 | 修理は○ | ○ |
損害賠償請求 | ○ | ○ |
契約解除(代金返還) | ○(建物は×) | ○ |
代金減額請求 | × | ○ |
① 改正後は「契約に適合しない」という「債務不履行責任」として取り扱われ、契約不適合には「隠れた」という前提は不要となりました。
② 改正前は建物の請負契約は契約解除ができませんでしたが、改正後は建物の解除制限がなくなりました。
③ 責任追及には「引渡しから1年以内(建物は5又は10年)」の請求が必要でしたが、改正後は、契約不適合を知ってから1年以内の通知で足りるとされました。
④ 「不適合発見から5年後」という新しい時効が追加されました
労働保険料の年度更新とは
労働保険の年度更新とは、毎年6月1日から7月10日までの間に、労災保険と雇用保険について、前年度の確定保険料と今年度の概算保険料を申告する手続きで、労働保険料の「確定申告」といえます。
前回の年度更新で申告した前年度の概算保険料と確定保険料の差額について、不足分は納付し、余剰分は還付を受けるか、新年度の保険料への充当を選択することになります。
なお、新型コロナウィルスの影響により、特例として、今回は8月31日まで期限が延長されています。
労災保険料と雇用保険料の算定
労働保険料の申告納付は労災保険と雇用保険を1つの申告書でまとめて行いますが、保険料算定の基礎となる賃金総額は、労災保険と雇用保険で異なります。
労災保険は、パートタイマーやアルバイト等を含むすべての労働者に支払った賃金総額が保険料算定の基礎になります。
一方、雇用保険は雇用保険被保険者のみを対象とするため、週の労働時間が20時間未満のパートタイマーや昼間学生など雇用保険の被保険者とならない労働者へ支払った賃金総額は雇用保険料算定の基礎から除外します。
64歳以上も雇用保険料の納付対象に
今回の年度更新では、64歳以上の社員がいる会社は注意が必要です。
従来、保険年度初日(4月1日)に64歳以上の被保険者(以下、高年齢労働者)は、雇用保険料の納付が免除されていましたが、令和2年度から免除除外となりました。
よって今回の年度更新では、前年度の確定保険料の算定に際して、昨年4月1日時点の高年齢労働者の賃金総額は除外し、今年度の概算保険料の算定には、今年4月1日時点の高年齢労働者の賃金総額を含めることになります。
また、雇用保険料の賃金控除も必要ですので、控除漏れがないか確認しましょう
労働保険申告・納付期限の延長と猶予
新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえ、労働保険料等の申告期限・納付期限(年度更新期間)が延長されました。また、納付期限が到来している労働保険料等についても、一定の条件を満たせば納付が猶予されます。
令和2年度労働保険料等の申告・納付延長
令和2年度の労働保険の年度更新期間について、令和2年6月1日~8月31日に延長することになりました。
労働保険料等の納付猶予の特例
(1)猶予(特例)の概要
新型コロナウイルス感染症の影響により、事業に係る収入に相当の減額があった事業主の方にあっては、申請により労働保険料等の納付を1年間猶予することができます。この納付猶予の特例が適用されると、担保の提供は不要となり、延滞金もかかりません。
(2)猶予の要件
以下のいずれも満たす事業主の方が対象となります。
①新型コロナウイルスの影響により、令和2年2月以降の任意の期間(1か月以上)において、事業に係る収入が前年同期に比べて概ね20%以上減少していること
②①により、一時に納付を行うことが困難であること
③申請書が提出されていること
(3)猶予対象となる労働保険等
令和2年2月1日から令和3年1月31日までに納期限が到来する労働保険料等が対象となります。
(4)申請方法
令和2年度労働保険の全期・第1期分については、申告・納付期限延長後の令和2年8月31日までに申請してください。ただし、令和2年2月1日から令和2年6月30日までの間に納期限が到来している労働保険料等については、令和2年6月30日までに申請すれば、納期限までに申請した場合と同じ取扱いとなります。所管の都道府県労働局に「労働保険料等納付の猶予申請書(特例)」等を提出する必要があります。